生命保険の告知についての概要と告知義務違反の対処方法について解説
- 保険
生命保険に加入するときの告知とは何か、どのような告知の項目があるのか、告知の項目に該当してしまった場合、告知義務違反をしてしまった場合などについて紹介します。持病があった場合の生命保険の加入検討方法なども併せてご紹介します。
目次
著・監修:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
1. 生命保険とは
生命保険は、将来の不測の事態に備えるために契約者に支払われる一種の金銭的保護手段です。これは、契約者が死亡した場合に家族や受益者に保険金が支払われ、経済的なサポートを提供することを目的としています。しかし、生命保険契約を締結する際には、保険会社に対して、お客さまの特定の情報を提供する「告知」の義務があります。
2.生命保険の告知義務とは
2-1.告知義務違反とは
告知とは、契約者が生命保険契約を申し込む際に、保険会社に対して自身や被保険者に関する特定の情報を提供する法的な責任を指し、被保険者の健康状態などについて、ありのままに告知しなければならない義務があります。この告知義務に違反した場合には、契約が解除される場合があります。また、保険金の支払い対象となる事故にあっていた場合でも保険金が支払われない可能性があり、正しく告知することは非常に重要なことです。
2-2.告知はなぜ必要なのか
生命保険は、多数の人々が保険料を出しあって、相互に保障しあう制度です。したがって、初めから健康状態の良くない方や危険度の高い職業に従事されている方等が無条件に契約してしまうと、保険料負担の公平性が保たれなくなってしまいます。そのため、生命保険の契約にあたっては、各生命保険会社が定めている「告知書」に記載をされている、過去の傷病歴(傷病名・治療期間等)、現在の健康状態、身体の障がい状態、職業等について正しく告知する必要があります。
2-3.告知義務違反をするとどうなるのか
告知義務を違反してしまった場合、既に契約した生命保険契約にさまざまな影響が生じる可能性があります。以下は、告知義務違反が生じた際の一般的な影響です。
・契約の解除
重大な告知義務違反があった場合、生命保険会社は契約を解除にすることがあります。告知義務違反があった場合、責任開始日(復活の場合は復活日)から2年以内であれば、生命保険会社は契約を解除することができます。責任開始日から2年を経過していても、支払事由が2年以内に発生していた場合には、契約が解除されることがあります。
・契約の取り消し
重大な告知義務違反がある場合、保険会社は保険契約を解約する権利を持つことがあります。これにより、保険料の返金などが行われない可能性があります。
・契約の修正
軽度の告知義務違反の場合、保険会社は保険料を修正したり、保険条件を変更したりすることがあります。これにより、保険料が増額される可能性があります。
・賠償請求拒否
契約者または被保険者が告知義務違反を行った場合、賠償請求が拒否されることがあります。つまり、保険金が支払われないことがあります。
但し、故意または重大な過失による告知義務違反があった場合であっても、保険契約の締結時に保険会社がその事実を知っていたかまたは過失によって知らなかったときは、保険会社は保険契約を解除することはできません。また、募集人等の保険媒介者が保険契約者等の告知を妨害したり、保険契約者等に対して告知義務違反を勧めたりしたときにも、保険会社は解除をすることはできませんが、そのような行為がなかったとしても告知義務違反があったであろうと認められる場合には、解除をすることができます。さらに、保険会社が解除の原因があることを知ってから1ヶ月間解除をしなかったときまたは保険契約締結の時から5年を経過した時は、解除をすることはできません。
2-4.一般的な告知項目について
では、一般的な生命保険会社の告知項目はどのように項目があるのでしょうか。生命保険会社や契約する生命保険の種類によっても異なりますが、多くは以下の項目が多いです。
・健康状態
契約者や被保険者の健康状態に関する情報。過去の病歴、現在の健康問題、処方薬の利用、医師の診断など。
・医療履歴
過去の医療診断、入院、手術、治療、病院の滞在などに関する情報。
・生活状況
喫煙、アルコール摂取、職業、趣味、旅行計画などに関する情報。
3.告知項目に該当してしまった場合
3-1.契約をしてしまっていた場合
万一、気づかずに告知義務違反をしてしまった場合、まずは保険会社と連絡を取りましょう。保険会社は契約条件に従って対処する方法を説明し、適切な手続きの案内をしてくれます。連絡をする際には、契約時に告知した控え(告知所)を用意して連絡をした方がよいでしょう。
保険会社に通知することによって、保険会社から告知義務違反に対処するため、契約条件の修正や保険料の調整などの提案があることが一般的です。例えば、生命保険の契約の前に胃の疾患の治療を行っていた場合は、生命保険の契約は継続されますが、「今後●年間は、お客さまが胃の疾患に罹患した場合は保険金が支払われない」といった部位不担保という条件付きになることが想定されます。また、上記のような部位不担保といった条件にはならないものの、過去の疾病や今の健康状態を鑑みると、契約時の保険料では、保険会社にとってリスクが高いという判断になると、契約時の保険料から修正、つまり保険料が高くなることが想定されます。
こういった提案を保険会社から受けることはできますが、万一納得できない場合は、保険の契約を解約するということも選択肢のひとつです。
3-2.契約をする前にわかった場合
契約をする前に、生命保険会社の告知項目に該当することが分かった場合は、以下の対応をおすすめします。
①ありのままを告知して契約する
上記に記載したとおり、条件付き(部位不担保)加入や保険料割り増しといった条件で保険に加入することができるケースもあります。ただし、自分の健康状態や過去の病歴を告知することで、保険に加入できるかどうかはなかなか分からないと思います。
今までは生命保険の加入をする際、「書類」を記載して契約するケースが一般的でした。記入した書類を保険会社に送付して、保険会社の担当が内容をチェックして、加入可否を回答するので、審査に時間を要していました。今ではPCやタブレットを使用して保険契約ができる保険会社も多くあります。PCやタブレットを利用して契約行為をすることにより、自分の健康状態で保険に加入できるかどうかが、リアルタイムで瞬時に判明します(時間がかかってしまうこともあります)ので、スピーディーに契約をすることができます。
②引受緩和型の生命保険に加入する
生命保険には「引受緩和型」の生命保険があります。「引受緩和型」の生命保険とは、健康状態の告知内容を限定することで、持病や過去に病気をしたことのある人でも加入しやすくした生命保険です。一般の生命保険よりも加入がしやすくなっている分、保険料は割高になります。
特徴は以下のとおりです。
・健康状態の告知が通常の生命保険と比較して少ない
・持病があっても加入できるケースがある
・保険金額が削減されていることがある
・通常の保険料と比較して高い
上記のような特徴があります。少し一般的な生命保険とは異なりますので、詳しく検討することが必要ですね。
4.まとめ
今回は、生命保険の告知についての概要と告知義務違反についてご案内させていただきました。お客さまから「保険って細かくてめんどくさい」、「保険って難しくてよく分からない」という声をよく聴きます。
生命保険は目に見える商品ではないため、お客さまに説明をしっかりと説明しながら告知義務違反にならないようにしなくてはいけません。せっかく生命保険に加入したのにも関わらず告知義務違反で、保険金が支払われないといったことにならなたいめにも、正しくありのままを告知することが最も重要です。
自分は持病があるから生命保険に加入できないのかな?この持病なら加入できるのか?部位不担保で加入することができるのか?保険料割り増しになるっていうけどどの程度高くなるのか?といった疑問点があればサーラフィナンシャルサービスにお気軽にお問い合わせください。
当社では、PCやタブレットから契約できる生命保険の取り扱いや、引受緩和型の生命保険の取り扱いもご用意しています。
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著・監修:2級ファイナンシャル・プランニング技能士