企業は地震保険が必要なの?
地震大国、日本。東日本大震災から10年経ち、直近でも日本各地で大規模な地震が頻発しております。一般家庭用地震保険は、東日本大震災を機に普及してきました。企業向け地震保険も同様で、日本の地理的位置において地震の発生リスクが高いこと、地震が起きた際の企業の事業継続(BCP)や建物、設備等へ甚大な被害が予想されることから、企業向け地震保険への関心が高まっております。ここでは、企業向け地震保険の重要性と特徴について詳しく説明します。
著・監修:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
企業向け地震保険って存在するの?
一般家庭用の地震保険と同様に、企業向け地震保険は存在します。地震は、企業にとって大きなリスク要因です。建物や施設、設備、在庫、従業員など、多くの資産と人々が地震による被害を受ける可能性があります。地震による損害は膨大で、復旧には時間と資金がかかることが一般的です。したがって、企業は地震に対するリスクを最小限に抑え、ビジネスの継続性を確保するための対策が必要です。
一般家庭用地震保険との違いは?
一般家庭用の地震保険は、国と損害保険会社が共同で運営しています。故に、日本国内のどの保険会社で地震保険に加入しても保険料や補償内容が均一になっています。しかし、法人向けの地震保険は各損害保険会社がそれぞれに保険を組成しています。損害保険会社によって保険料や保険金額、補償内容にばらつきがあります。
一般家庭用地震保険は、地震の補償額が火災保険の補償金額の50%までと、補償内容に制限があります。企業向け地震保険はそういった制限がなく、建物や設備什器、商品製品の100%まで補償してくれる保険会社もあります。ただし、一般家庭用の地震保険と異なり、企業向け地震保険は誰でも入れるわけではありません。事務所がある地域や、必要補償額によっては保険会社が引き受けてくれないケースもあるので、注意が必要です。
地震保険の必要性
発生リスク
日本では毎年数千回以上の地震が発生しており、ほとんどは小規模なものですが、まれに大規模な地震も発生します。日本の地震活動は非常に活発で、歴史的にも多くの大地震が記録されています。マグニチュード7以上の地震が発生することがあり、これらの大地震は深刻な被害をもたらします。
企業特有の地震保険リスク
1建物と設備の損害:企業は通常、一般家庭に比べて大規模な建物や設備を所有・運営しています。地震による建物や施設の損害は、生産設備やオフィススペース、倉庫、販売店舗などに影響を与える可能性があり、営業活動に大きな支障をきたす可能性があります。
2事業中断:地震による業務中断は企業にとって深刻なリスクです。営業活動が停止すると収益が減少するのに、仕入れや従業員の給与支払いなどの経費は継続的に支払わないといけないケースもあります。
3在庫損害:製造業や小売業の企業は、在庫を保管していることが一般的です。地震によって在庫が損傷し、売れないまたは廃棄しなければならない場合、在庫損害は企業にとって損失となります。
4従業員の安全確保 :地震が発生すると、従業員の安全確保が最優先事項となります。被害が甚大な場合、従業員が無事なのか、出社して仕事ができるのかは被害状況次第です。
5サプライチェーンリスク:企業は国内外のサプライヤーや取引先と関係を持っており、地震がサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があります。自社は無事でも、サプライチェーンに被害があると仕入れや納品に支障をきたす可能性があります。サプライチェーンが被害を受けたため、事業中断をせざるを得ない可能性もあります。
企業が入れる2つの地震保険
地震危険補償特約
建物、設備什器、商品が補償範囲
引受限度割合や引受限度額は地域によって異なる
BCP地震補償保険
利益や費用の損失にかける保険
※詳細はお問い合わせください。
まとめ
企業向け地震保険は、一般家庭に比べて考慮しなけばならないリスクが多いです。建物や事業用資産の損害のみならず、事業中断やサプライチェーンリスクも考えないといけません。BCP(事業継続計画)にも直結します。
地震保険に加入していれば、大震災が発生し経営困難になった場合でも、保険金が支払われることによって当面の運転資金の調達ができ、従業員を解雇せずに給料を支払いながらの経営もできることでしょう。BCPにも繋がります。
まだ企業向け地震保険を加入していないのであれば、是非この機会に検討してみて下さい。
著・監修:2級ファイナンシャル・プランニング技能士