介護サービスの概要とのその平均費用について~家族の将来を考える~

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日本は高齢化社会として知られており、高齢者の介護ニーズがますます増加しています。介護に関連する重要な要素の一つは、介護の費用です。家族の介護計画を立てる際には、費用の見積もりが不可欠です。この記事では、”介護費用がどの程度必要か”に焦点を当て、介護サービスの概要と費用の平均額について説明します。

著・監修:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

1.介護サービスの種類について

介護サービスとは、高齢者や身体的・認知的な障害を持つ人々が日常生活を送る上で支援が必要な場合に提供される幅広いサービスのことを指します。介護サービスは、個々のニーズや状況に応じて異なり、一般的な介護サービスの種類を紹介します。

・在宅介護

在宅介護は、高齢者や障がい者が自宅で生活し続けるための支援を提供するサービスです。在宅介護サービスには、ホームヘルパーや看護師が日常生活の手助けや医療的なケアを提供することが含まれます。具体的なサービスには、入浴の補助、食事の提供、薬の管理、家事の手伝いなどがあります。

 

・訪問看護

訪問看護は、看護師や訪問医療従事者が高齢者や病気の患者の自宅を訪れ、医療ケアを提供するサービスです。訪問看護は、傷病の管理、薬の管理、傷口の処理、病状のモニタリングなどを含みます。患者の方が自宅で医療的なケアを受けることができます。

 

・デイケア

デイケアは、高齢者や障がい者が自宅から外出して施設で過ごすサービスです。デイケアセンターでは、リハビリテーション、社交活動、エンターテインメント、食事などが提供され、利用者が日中を有意義に過ごすのに役立ちます。また、家族の介護負担を軽減する役割も果たします。

 

・特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、高齢者の健康管理や生活支援を提供します。入居者は個室または相部屋で生活し、食事、入浴、医療ケア、リクリエーション活動などが提供されます。高齢者の日常生活を支え、社会的な交流を促進します。

 

・介護老人保健施設(ショートステイ含む)

介護老人保健施設は、高齢者の看護や介護が必要な一時的な滞在を提供する施設です。ショートステイプログラムを含むことがあり、家族が一時的に介護の休息を取るために利用します。また、リハビリテーションやリカバリーのためにも利用されます。

 

・介護付有料老人ホーム

介護付有料老人ホームでは、食事、入浴、医療管理、リハビリテーション、介護職員によるラウンドケアなどのサービスが提供されます。高齢者は個室または相部屋で生活し、施設内での社交活動やレクリエーションも行われます。

 

・サービス付き高齢者向け住宅

高齢者単身・夫婦世帯が居住できるバリアフリー環境が完備された賃貸住住宅です。これらの住宅では、食事の提供、定期的な健康チェック、通院サポート、緊急時の対応、家事の手伝いなどのサービスが提供され、高齢者は独自の住居に住み続け、必要に応じてサービスを受けます。

・グループホーム

グループホームは、高齢者や障害者が共同生活を送るための小規模な施設です。通常、6人から16人程度の入居者が一緒に生活し、アットホームな雰囲気が提供されます。

 

・療養型医療施設

療養型医療施設は、入院が必要な高齢者や慢性疾患を持つ人々に対して、専門的な医療ケアを提供する施設です。病院とは異なり、長期の滞在が可能で、リハビリテーションや看護が行われます。

 

これらの介護サービスは、個別のニーズや家庭の状況に合わせて提供され、高齢者や障がい者の方が健康で快適な生活を送るために重要な役割を果たしています。介護サービスの利用を検討する際には、利用者の方の健康状態、ニーズ、希望、予算などを考慮し、家族や専門家などの介護相談機関のアドバイスを受けることが大切です。また、各施設の評判や設備、サービスの質なども検討材料として重要になります。

 

 

2.介護サービスの平均費用について

介護費用

2-1.在宅介護の平均費用

在宅介護の平均費用は以下のとおりです。

 

・ホームヘルパー

ホームヘルパーが週に数回訪問し、家事の手伝いや入浴のサポートを提供する場合、月額平均費用は約15,000円から30,000円程度が一般的です。

 

・訪問看護

訪問看護師が週に数回訪問し、医療的なケアを提供する場合、月額平均費用は約20,000円から50,000円程度です。

 

・デイサービス

デイサービスは通常、日中のサポートを提供し、月額平均費用は約20,000円から40,000円程度です。

 

2-2.施設介護の平均費用

施設介護は、高齢者の方が専用の介護施設で生活するためのサービスです。以下は、施設介護の平均費用の概要です。

 

・特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームの入所金は100万円以上で、月額平均費用は30,000円から80,000円以上です。ただし、施設や地域によって価格が異なります。

・ショートステイ

ショートステイプログラムの平均利用料金は、数千円から1万円以上かかることがあります。滞在期間や施設によって価格が異なります。

 

・介護付有料老人ホーム

介護付有料老人ホームは、月額平均費用が50,000円から100,000円以上になることがあります。施設の設備や提供サービスによって価格が変動します。

 

・訪問リハビリテーション

訪問リハビリテーションの費用は、訪問回数や治療の種類によって異なりますが、月額平均費用は約20,000円から40,000円程度です。

 

・サービス付き高齢者向け住宅

提供されるサービスの種類や頻度によって異なります。月額平均費用は一般的に、50,000円から150,000円程度です。ただし、地域や施設によって価格が変動します。

 

・グループホーム

グループホームの費用は、地域や施設によって異なります。月額平均費用は一般的に、50,000円から100,000円程度です。特定の介護保険制度を利用することで、費用が部分的にカバーされることもあります。

 

これらの平均費用はあくまで一般的な目安であり、地域や施設によって価格が異なりますので、よくご確認ください。また、介護保険や地方自治体の支援制度を活用することで、費用を軽減できる場合もあります。

 

3.介護費用の自己負担額について

介護保険サービスを利用した場合の利用者負担は、介護サービスにかかった費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)です。仮に1万円分のサービスを利用した場合に支払う費用は、1千円(2割の場合は2千円)ということです。

介護保険施設利用の場合は、費用の1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)負担のほかに、居住費、食費、日常生活費の負担も必要になります。
ただし、所得の低い方や、1ヶ月の利用料が高額になった方については、別に負担の軽減措置が設けられています。

 

3-1.在宅介護サービスを利用する場合の自己負担額

居宅サービスを利用する場合は、利用できる支給限度額が要介護度別に定められています。

在宅介護

<居宅サービスの1ヶ月あたりの利用限度額>

居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められており、1ヶ月あたりの限度額は以下のとおりです。

要支援1:50,320円

要支援2:105,310円

要介護1:167,650円

要介護2:197,050円

要介護3:270,480円

要介護4:309,380円

要介護5:362,170円

限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担ですが、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。

3-2.施設サービスを利用する場合の自己負担額

<施設サービス自己負担の1ヶ月あたりの目安>

個室や多床室〔相部屋〕など住環境の違いによって自己負担額が変わります。介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1ヶ月の自己負担の目安は以下のとおりです。

○要介護5の人が多床室を利用した場合

施設サービス費の1割:約25,200円(847単位×30日=25,410)

居住費:約25,650円(855円/日)

食費:約43,350円(1,445円/日)

日常生活費:約10,000円(施設により設定されます。)

【合計:約104,200円】

 

○要介護5の人がユニット型個室を利用した場合

施設サービス費の1割:約27,900円(929単位×30日=27,870)

居住費:約60,180円(2,006円/日)

食費:約43,350円(1,445円/日)

日常生活費:約10,000円(施設により設定されます。)

【合計:約141,430円】

 

利用者負担の軽減について

利用者負担が過重にならないよう、所得に応じた区分により次の措置が講じられています。

<特定入所者介護サービス費(補足給付)>

介護保険施設入所者等の人で、所得や資産等が一定以下の方に対して、負担限度額を超えた居住費と食費の負担額が介護保険から支給されます。

なお、特定入所者介護サービス費の利用には、負担限度額認定を受ける必要がありますのでお住まいの市区町村に申請をしてください。

詳細については厚生労働省のHPからご確認ください。

 

4.まとめ

介護サービスの概要と費用の平均額についてご理解いただけたでしょうか。人生100年時代となり、これから介護のニーズは増々高まってくることが想定されます。一番は、健康状態をしっかりと管理し、介護状態にならないことですので、今のうちからしっかりと予防管理していきましょう。

今回ご説明させていただいた情報をもとに介護にかかる費用を予算化し、家計管理を徹底しましょう。サーラフィナンシャルサービスでは、無駄な支出を削減し、費用を節約するお手伝いもさせていただいております。無料でライフプランをシミュレーションして、将来の介護に万全の備えをしましょう。お気軽にご相談ください。

 

著・監修:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

 

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